小型気象ステーション(微気象ステーション、農業用気象ステーションとも呼ばれます)は、自分の圃場や温室に設置する小型の自動観測装置で、その土地の今の温湿度、雨量、風、日照、土壌をいつでも測り、データをスマートフォンに送ります。気象機関の地上観測所は統一された基準で設置され、周囲100~1,000平方キロメートルの広い範囲の天気を代表する必要があります。両者が見ている範囲が違います。

同じ地域でも、山のそばと川のそば、露地の畑と温室の中では、気温や雨量が大きく違うことがよくあります。フロリダ大学の普及刊行物も、空港や市街地の観測所は建物の影響を受けるうえ、雨量の分布がもともと均一ではないため、そのまま畑の管理に使うのは適さないと注意しています。「自分の畑」が今何度か、土は乾いているか、さっきどれだけ雨が降ったかを知りたいなら、畑に1台置く必要があります。設置すれば、毎日畑へ水を見に行かなくても、雨が降ったあとは水やりが不要になり、寒波や高温が来たときもスマートフォンが先に知らせてくれます。

この記事では、購入者からいちばんよく聞かれる5つのことをまとめます。どの項目を測るか、購入時に何を確認するか、どこに設置するか、どのくらいの高さなら正確か、そしてデータの使い方です。

圃場ではどの項目を測る?まず何を解決したいかから考えます

小型気象ステーションは、項目が多いほどよいわけではありません。まず、何を省きたいのかをはっきりさせてから、対応するセンシング項目を選びます。下の表は、よくある用途と、最初に測るとよい項目です。各センサーの原理と限界は〈農業用センサーの種類〉をご覧ください。

解決したいことまず測るものデータの役立ち方
水管理:いつ水をやるか土壌水分、雨量、気温土が乾いてから水をやり、雨が降った直後は水やりを控える
作物が必要とする水の量の見積もり気温、相対湿度、風速、日射量この4項目は、基準蒸発散量(作物の水使用量)を推定するための基本データです
寒害・高温障害の対策気温、相対湿度低温や高温のときにスマートフォンで通知し、早めに備える
果樹園の防風、防除の段取り風速、風向、雨量風が強いときは散布を控え、強風が来る前に枝を結束・補強する
温室の温度管理気温、相対湿度、CO2、照度または光合成有効放射(PAR)暑くなったらファンを回したり遮光したりし、作物がどれだけ光を受けているかを見る
土壌の変化を見る土壌温度、電気伝導度(EC)、pH、窒素・リン・カリウム(NPK)施肥後や季節の変わり目の変化の傾向を観察する
排水路、貯水池水位、雨量豪雨のときは水位を見張り、早めに排水する

FarmerPackを例にすると、選べるセンサーモジュールは3つに分かれていて、必要に応じて選べます。セット全部を買う必要はありません。

  • 空気と天気:気温、相対湿度、気圧、風速、風向、雨量、水位。ほかにCO2、PM2.5/PM10、騒音、黒球温度があり、温室や学校などの現場で使います。
  • 光:照度、光合成有効放射(PAR)、日射量。
  • 土壌:土壌温度、土壌水分、土壌の電気伝導度(EC)、土壌pH、土壌の窒素・リン・カリウム(NPK)。

2つの注意点:土壌の窒素・リン・カリウムは変化の傾向を観察するためのもので、土壌検査の代わりにはなりません。施肥の設計は、あくまで土壌検査の結果に基づきます。相対湿度の測定範囲は0~95% RHで、飽和に近い高湿の時間帯については、「湿度が長時間高いときに通知する」設定にすることをお勧めします。見るのは傾向であり、そのうえで圃場で確認してください。

小型気象ステーションを選ぶときに確認したい6つのこと

仕様表の測定範囲と精度は確認すべきですが、圃場で使う機器の使いやすさを本当に左右するのは、多くの場合、次のようなことです。

1. 電源:コンセントのない圃場でも使えますか?

ほとんどの農地は電気を引くのが大変なので、まず、何で電源をとるか、雨や曇りが続いたら何日もつかを聞いてください。FarmerPackは標準でソーラーパネルと充電式リチウム電池を備え、日照がなくても30日以上動作します。コンセントがある場所では商用電源にも接続でき、鉛蓄電池を外付けすることもできます。ソーラーパネルは、ときどき拭いてください。ほこりや落ち葉で覆われると、充電に影響します。

2. 通信:データは圃場からどうやってスマートフォンに届きますか?

圃場のスマートフォンの電波状況と、現場のネットワークによります。FarmerPackは4G、NB-IoT、Wi-Fi、またはLoRa(LoRaゲートウェイとの組み合わせが必要)を選べます。既存の制御盤やシステムにつなぐ場合は、有線のModbus RTUとModbus TCPにも対応しています。各接続方式がどんな現場に向くかは、〈IoT通信技術はどう選ぶ?〉が参考になります。

3. データの保存と再送:回線が切れたらデータが抜けませんか?

圃場の電波は、どうしても良かったり悪かったりします。機器自体がまずデータを保存でき、接続が戻ったら自動で再送するかを確認してください。FarmerPackはMicroSDカードに一時保存し、ネットワークが戻ると自動で再送します。記録の間隔は自分で設定でき、最短1分、最長24時間です。スマートフォン、タブレット、パソコンのどれでも、リアルタイムの値と履歴の傾向を見られます。APIとMCPも提供でき、データを既存の管理システムやAIツールにつなげます。

4. 防水・耐日光:圃場に1年中置いても大丈夫ですか?

雨、日差し、高温、湿気は日常です。FarmerPackは本体が完全防水(自社試験)で、外装は工業用グレードの耐紫外線PC+ABS、動作温度は-20~60 °Cです。購入時には、大雨や台風の時期にどう固定するかも確認してください。

5. 制御につなげられますか?見るだけですか、実際に動かせますか?

数字を見るだけだと、水を出すために自分で行かなければなりません。手間を省くなら、制御機器につなげられるものがお勧めです。FarmerPackはSmart Control Boxと組み合わせて、スマートフォンで「土壌水分がある値を下回ったら、水を何分出す」と設定できます。今あるポンプ、電磁弁、ファンを自動でオン・オフでき、設備を買い替える必要はありません。

6. その後の保守と保証:壊れたら誰が対応しますか?

センサーは定期的な清掃が必要です(保守の頻度は次の節を参照)。故障時の対応も確認してください。FarmerPackは1年間の保証が付いており、保証期間中に故障しても、修理を待つ必要はなく、新品を直接お送りして交換します。実際の保証条件は見積書に従います。アプリとプラットフォームは多言語の画面に対応しているので、ご家族の年配の方や外国人スタッフも、慣れた言語で見られます。

どこに、どう設置するかで、測定値の正確さが決まります

同じ機器でも、設置場所が悪いと、測れるのはその圃場の状態ではなくなります。フロリダ大学の普及刊行物の原則は、観測装置を圃場の状態をもっともよく代表する場所に置き、建物や樹木などの遮蔽物の影響をできるだけ避けることです。下の表は、この刊行物とWMO(世界気象機関)による各項目の推奨をまとめたものです。

項目推奨される場所出典
気温、相対湿度開けた平らな場所で、直径10メートル以上。地面は短い草が望ましい。障害物からは障害物の高さの少なくとも4倍離れ、広いコンクリート舗装からは少なくとも30メートル離す。センサーには放射よけのシールドを付けて風通しを確保する。屋根の上、急斜面、木陰、雨のあとに水がたまる低地、大きな熱源は避けるフロリダ大学 AE502
雨量できるだけ障害物から離す。理想は最も近い障害物の高さの4倍。受水口は水平にして空に向け、地面から跳ね返る雨水の高さより高くするフロリダ大学 AE502;WMOの設置場所の分類では、より良い等級は、障害物が高さの2倍以上離れていることを求めています
風速・風向開けた平らな場所で、建物や木からできるだけ離す。理想は最も近い障害物の高さの10倍フロリダ大学 AE502;WMOの設置場所の分類(クラス2)でも同じく10倍
日照・日射量1年を通じた太陽の角度の変化の中で、樹木、建物、観測装置自体の影にならないこと。反射する面や人工光は避ける(北半球では観測装置の南側、南半球では北側への設置を推奨)フロリダ大学 AE502
土壌温度・水分圃場の土壌を代表する、少なくとも1平方メートルの場所を選ぶ。支柱や建物から1.5メートル以上離し、周囲の排水が流れる場所は避ける。土壌温度は地下10 cmで測ることが多く、1つの深さだけ測る場合は、根域をもっともよく代表する深さを選ぶフロリダ大学 AE502

測定の高さが違えば、数字が違うのは当たり前です

WMOの規範では、気温センサーはシールド内に入れ、地上1.25~2メートルに設置し、1.25メートルより低くしません。風の標準測定高度は地上10メートルです。フロリダ大学が農場の観測装置に推奨するのは、気温・湿度・風をいずれも高さ2メートルで測り、雨量計は約1メートルに置くことです。

ですから、自分の圃場の数字が近くの気象観測所と合わないときは、どちらかが間違いだと決めつけず、まず両者の高さと周囲の環境を比べてください。作物に近い高さに置いた小型気象ステーションは、もともと作物のそばの状態を測っているので、圃場の管理にはむしろ役立ちます。

温室の中:センサーは作物の高さに置く

ミシガン州立大学の研究は、温室の温度センサーにはシールドを付けて風通しを確保し、作物の高さに置くことを勧めています。作物の約90 cm上で測った温度は、作物の高さでの温度よりやや高くなることがあり、作物が実際より暑いと誤解しやすくなります。作物が伸びたら、位置もそれに合わせて調整してください。

FarmerPackの設置方法

届いたら土に挿し、スマートフォンのアプリで設定を済ませれば記録が始まります。配電・配線工事は不要です。位置は上の原則に従って選びます。区画全体を代表できる圃場を選び、木陰、壁際、スプリンクラーの水が直接当たる場所は避けます。地形や土質が大きく違う圃場では、条件の違う区画ごとに1台ずつ置くのが理想です。何台置くか、どう区分けするかは、まず〈衛星リモートセンシングか、圃場微気象ステーションか〉を参考にし、衛星画像で差の大きいエリアを先に見つけてください。

どのくらいの頻度で保守するか

フロリダ大学が推奨する点検頻度は次のとおりです。雨量計は週1回確認します。虫、草のくず、泥がもっともよく漏斗を詰まらせます。日射センサーは週1回きれいに拭き、水平が保たれているか確認します。温湿度センサーのシールドは月1回ほこりを掃除します。風速計は3か月に1回点検し、回すとこすれる音がしたり、微風で回らなかったりしたら、軸受を処置します。

データの使い方:まず通知、そして設備を自動で動かす

通知で圃場の見回りを代える

アプリでしきい値を設定しておくと、値が異常になったとき、アプリのプッシュ通知、SMS、Emailでお知らせします。低温が近づいている、温室が暑すぎる、土が乾きすぎている、水位が上がっている、などです。圃場にいなくても、いつ見に行くべきかが分かります。アプリには、現地の天気、7日間の予報、農事カレンダーも内蔵されています。予報はこの先どうなりそうかを教え、圃場の観測装置は今どうなっているかを教えてくれるので、両方を合わせて見るのがいちばん安心です。

Smart Control Boxと組み合わせて、設備を自動でオン・オフ

FarmerPackとSmart Control Boxを組み合わせると、スマートフォンで「~なら~する」を設定できます。たとえば、土壌水分が設定値を下回ったら水を20分出す、温室の温度が高すぎたらファンを回したり遮光したりする、などです。土壌水分を見て判断するので、雨が降ったばかりで土がまだ湿っているときは水を出さず、雨が降れば水やりは不要です。雨量、時間、天気の変化も条件にでき、同時にあなたへ通知も送ります。プログラミングは不要で、しきい値は各現場の土質や作物に合わせて自分で設定します。ネットワークが切れても、Smart Control Boxは最後にダウンロードした設定のまま動き続け、止まりません。揚水ポンプなどの大出力モーターや三相モーターは、有資格の電気工事士が外部回路で配線します。

記録を積み重ねて、次のシーズンの段取りをよりよく

シーズンごとの温度、雨量、水やり時間がプラットフォームに残るので、今年と去年を見比べて、次のシーズンの農作業計画の参考にできます。精密農業の全体像を先に知りたい方は、〈精密農業とは〉をご覧ください。衛星画像も使っている場合は、役割分担を覚えておいてください。衛星は全体を見て、FarmerPackは今の状態を見ます。

小型気象ステーションのよくある質問

Q1:天気予報があるのに、小型気象ステーションは必要ですか?

両方を組み合わせられます。予報は、この地域のこの先の天気の傾向を教えてくれます。小型気象ステーションが測るのは、あなたの圃場の今の気温、雨量、土壌水分です。今日水をやるか、温室でファンを回すかを決めるには、圃場の今の数字がいちばん直接的です。

Q2:圃場に電気がなく、電波も悪くても設置できますか?

できます。FarmerPackは標準でソーラー電源で、日照がなくても30日以上動作します。接続は4G、NB-IoT、LoRa、Wi-Fiから選べます。電波が不安定なときはデータをメモリーカードにいったん保存し、接続が戻ったら自動で再送します。

Q3:測った温度が近くの気象観測所と違います。故障ですか?

そうとは限りません。気象機関の気温は、WMOの規範に従い、高さ1.25~2メートルの開けた場所で測ります。圃場の観測装置は高さも周囲の環境も違うので、数字に差が出て当然です。まず、センサーに直射日光が当たっていないか、シールドが汚れていないか、周囲のコンクリート地面や壁面の影響がないかを確認してください。値が急に跳ねたり、長時間変わらなかったりする場合は、ご連絡いただければ点検します。

Q4:小型気象ステーションはどう保守しますか?

フロリダ大学は、雨量計と日射センサーは週1回の点検・清掃、温湿度シールドは月1回の清掃、風速計は3か月に1回の点検を推奨しています。ソーラーパネルは、ときどき拭いてください。FarmerPackの保証期間中に故障した場合は、新品を直接お送りして交換します。実際の条件は見積書に従います。

Q5:土が乾いたら自動で水を出せますか?ネットワークが切れたらどうなりますか?

できます。Smart Control Boxと組み合わせ、スマートフォンで土壌水分のしきい値と給水時間を設定すれば、今あるポンプや電磁弁を自動でオン・オフします。ネットワークが切れても、Smart Control Boxは最後にダウンロードした設定のまま自動で動き続けます。

Q6:データを自社のシステムにつなげられますか?

できます。FarmerPackは有線のModbus RTUとModbus TCPに対応し、APIとMCPも提供できるので、監視データを既存の管理システムやAIツールにつなげます。具体的なやり方は、相手のシステムが公開しているインターフェースに応じて検討します。

まず実際の画面を見てみませんか?

FarmerPackは、ソーラー電源のモジュール式の圃場微気象ステーションです。センシング項目は作物や現場に合わせて選び、土に挿してスマートフォンで設定すれば、記録を始められます。センシング仕様の詳細はFarmerPackの製品ページを、各現場での活用は微気象モニタリングをご覧ください。

スマートフォンとプラットフォームの実際の画面を先に見たい方は、デモアカウントを申請してください。作物と圃場の状況をお知らせいただければ、どの項目を測るか、何台置くかをご提案します。

参考資料