停電警報器(停電通報システムとも呼ばれます)は、設備の電源ラインに後付けする小さな箱です。停電、電圧の急な低下、設備の電流の異常を検知すると、LINE、SMS、Email、音声電話で自動的にお知らせします。「停電したのに誰も気づかず、そのせいで事故になる」場所ならどこでも役に立ちます。たとえば、養魚池のエアレーター、温室の換気・加温、冷蔵庫、育苗施設、揚水ポンプなどです。
停電警報器を選ぶうえでいちばん大事なのは、機能の多さではなく、とても現実的な問いです。現場全体が停電したとき、警報器自身は警報を送り出せるか?この記事ではまずこの問いに答え、そのあと購入前に確認したいことと、場所ごとの使い方をまとめます。
停電したとき、警報は届くのか?
警報器にバッテリーがあれば十分だと思う方は多いのですが、実際には、停電時に警報を届けるには2つの関門を越える必要があります。1つ目は、警報器自体にまだ電気があるかどうか。2つ目は、送信に使うネットワークがまだつながっているかどうかです。
YenProtekの停電警報モジュールは、どのタイプもバッテリーを内蔵しているので、1つ目の関門はすべてのタイプが越えられます。3タイプの違いは2つ目の関門です。
| タイプ | 警報の送り方 | 現場全体が停電したとき | 向いている場所 |
|---|---|---|---|
| Wi-Fi 版 | 現場のルーターやモデム経由でインターネットに接続 | 停電後もルーターやモデムに電気が残っているかによります。電気がなければ、警報は送れません | 安定したネットワークがある屋内や固定の施設 |
| NB-IoT 版 | SIMカードを内蔵し、通信事業者の回線に直接つなぐので、現場のネットワーク機器に頼りません | モジュールにバッテリーと独自の通信手段があるため、停電後も警報を送れます | 固定回線がなく、やや人里離れた屋外の現場。例:養魚池、圃場の揚水ポンプ場 |
| 4G 版 | 同じくSIMカードを内蔵し、4Gモバイル回線を使います | NB-IoT版と同様に、停電後も警報を送れます | 現地でNB-IoT網が普及していない場所。海外(例:タイ)では4Gのほうが向いている場合があります |
ひとことで言うと、現場全体が停電するおそれがあるなら、NB-IoT版か4G版を選んでください。Wi-Fi版が使えないわけではありません。ただ、停電時に通知できるかどうかは、現場のルーターやモデムが停電後も電気を保てるかにかかっています。この点は、設置前にしっかり確認しておく必要があります。
もう一つ知っておいていただきたいのは、モバイル回線の基地局も電気で動いていることです。基地局には通常バックアップ電源があり、ふつうの停電なら持ちこたえますが、台風や豪雨による広範囲・長時間の停電では、途絶えることもあります。米国を例にすると、米国連邦通信委員会(FCC)が2005年のハリケーン・カトリーナを検証した際、基地局のバックアップ用発電機は一般に24~48時間もつように設計されていると述べています。そのためYenProtekのモジュールには、データの一時保存機能も付いています。電波が不安定なときはデータをいったん保存し、電波が戻ってから送り直します。大きな台風が来る前には、担当者間の連絡や見回りの段取りを先に決めておいてください。
各通信方式の違いをもっと知りたい方は、〈Wi-Fi、LoRa、NB-IoT、4Gはどう選ぶ?〉をご覧ください。
購入前に確認したい6つのこと
1. 現場でどんな電波が入りますか?
Wi-Fi版を選ぶなら、設備のある場所でWi-Fiが安定して入ることを確認してください。事務所でしか入らないのでは足りません。NB-IoT版や4G版を選ぶなら、現地の通信事業者がその回線を提供していて、設備のそばで電波が入ることを確認します。いちばん簡単なのは、取り付け予定の場所へスマートフォンを持って行って、電波の入りを見ることです。はっきりしないときは、場所をお知らせいただければ、一緒に確認します。
2. 検知したいのは主電源ですか、それとも1台ごとの設備ですか?
主電源だけを見ていると、「現場全体が停電した」ことは分かっても、「あるエアレーターのブレーカーが落ちた」ことや「電気は戻ったのに設備が再起動していない」ことは分かりません。電力がすぐに復旧しても、エアレーターや揚水ポンプなどの設備が自動では再起動しないことがあります。YenProtekの停電警報モジュールは電圧と電流を同時に測り、1台で最大4系統の設備回路を監視できます。特に大事な設備に1系統ずつ接続しておくと、止まったときにどの設備か分かります。
3. 設備はどんな電気で動いていますか?
モジュールは、AC 110V/220Vの電圧・電流の監視に対応しています。現場が三相や大出力モーターの場合は、先に配電方式をお知らせください。配線方法を確認したうえで、有資格の電気工事士が施工します。
4. 誰に、どんな方法で通知しますか?
警報を出すだけでなく、それを受け取る人と、対応する人が必要です。YenProtekのモジュールはLINE、SMS、Email、音声電話に対応し、複数の人に同時に通知できます。エスカレーション通知も設定でき、最初の人が応答しなければ、順番に次の担当者へ通知します。夜中の停電では、スマートフォンのプッシュ通知より音声電話のほうが見落としにくくなります。名簿には交代勤務や代理の人も入れ、人の異動があれば更新してください。
5. 通知だけでよいですか、それともバックアップ設備と連動させますか?
場所によっては、停電が分かれば十分で、人が自分で対処できます。一方、人が駆けつけるのを待てず、予備のエアレーターや発電機を先に動かしたい現場もあります。停電警報モジュールはSmart Control Boxと組み合わせられます。現場のバックアップ発電機にリモート始動用の接点があれば、Smart Control Boxや関連する電気設備との組み合わせを別途検討し、停電時に発電機を始動させることができます。Smart Control Boxが担当するのは「通電・停電」のスイッチ動作だけです。エアレーターや揚水ポンプなどの大出力モーターや三相モーターは、有資格の電気工事士が外部回路で配線します。
6. 電力の記録を残しますか?
警報器は、停電のときに通知するだけでなく、普段も測定しています。モジュールは電圧と電流の履歴を保存するので、設備がよくブレーカー落ちしていないか、消費電力が急に増えていないか、起動と停止を頻繁に繰り返していないかが分かり、設備の点検や保守の参考になります。記録はYenProtekのクラウド管理プラットフォームに置けるほか、プロジェクトの要望に応じて、お客様ご自身のサーバー上に構築することもできます。既存の管理システムにつなぐ場合は、API連携も提供できます。
よくある使い方:どんな場所で特に必要?
養殖池、エビ池
エアレーターや水車が止まると、水中の溶存酸素は下がり始めます。真夜中から早朝がもっとも危険で、しかも養魚池は現場全体が停電することがよくあります。このような現場では、NB-IoT版か4G版を選んでください。停電のリスクと対応の考え方は、〈養魚池の停電は一大事〉をご覧ください。
温室
温室は電気にかなり頼っています。米国フロリダ大学の農業普及機関の資料によると、冬は加温機のファンやコントローラーに電気を使い、夏は換気ファンに電気を使い、二重フィルムの温室では電気でフィルムの間に空気を送って膨らませます。そして、停電時に家にいる人へ知らせる警報を設置し、こまめに動作テストをすることを勧めています。かんがい用ポンプも同じで、止まれば水をやれません。自動で水をやる方法は、〈自動散水システムとは?〉をご覧ください。
冷蔵庫・冷凍庫
冷凍庫が停電したとき、いちばん怖いのは、翌朝に扉を開けて初めて気づくことです。米国食品医薬品局(FDA)が一般家庭向けに出している停電時の目安では、冷蔵庫は扉を開けなければ約4時間冷たさを保て、満杯の冷凍庫は約48時間、半分の量なら約24時間温度を保てるとされています。扉はできるだけ開けないようにします。大型の冷蔵庫は保温の条件が違うので、この時間をそのまま当てはめることはできませんが、考え方は同じです。早く知るほど、発電機を動かすか、荷物を移すか、人を呼ぶかを判断する時間が残ります。冷蔵庫の金属の壁は電波を遮るため、設置前に取り付け予定の場所で電波の入りを試してください。通信方式の比較は〈Wi-Fi、LoRa、NB-IoT、4Gはどう選ぶ?〉が参考になります。
育苗施設
野菜や花の育苗施設では加温、ミスト、補光に電気を使い、稚魚の育成施設ではエアレーションと循環水に電気を使います。ひとロットの苗がそのシーズンの始まりになるため、停電への備えが足りないと、ロットまるごとやり直しになりかねません。停電警報器をつなぐだけでなく、温湿度の監視も組み合わせて現場の環境をあわせて見ることもできます。〈農業用センサーの種類〉をご覧ください。
揚水設備
かんがい用の揚水ポンプ、排水ポンプ、貯水塔の揚水モーターが電気で止まると、圃場は水不足になり、低地では水がたまることもあります。台風や大雨のときは、停電と浸水が同時に起きやすくなります。その備え方は〈浸水に停電が重なったら、誰が知らせてくれる?〉をご覧ください。
YenProtekの停電警報モジュールのしくみ
停電警報モジュール(Power Outage Alert Module)は、YenProtekが自社開発した電力監視モジュールで、エアレーターや揚水ポンプなどの既存設備に後付けして、停電と電流の異常を検知し、すぐに通知します。要点は次のとおりです。
- 今の設備を買い替える必要はありません:モジュールは既存設備の電源ラインに並列に後付けします。エアレーター、揚水ポンプ、給餌機、コールドチェーン設備などに取り付けられます。
- 1台で4系統を監視:最大4系統の設備回路を監視でき、AC 110V/220Vの電圧・電流の監視に対応しています。
- 3種類の異常を通知:停電、電圧の急低下、電流の異常。
- 停電後も警報を送信可能:モジュールにバッテリーを内蔵しています。通信はWi-Fi、NB-IoT、4Gの3タイプから1つ選べ、NB-IoT版と4G版はSIM通信を内蔵しているので、現場が停電しても警報を送れます。
- 電波が不安定でもデータが抜けません:通信が途切れたときはデータをいったん保存し、電波が戻ってから送り直します。
- 通知方法が複数:LINE、SMS、Email、音声電話で、複数の人に同時に通知できます。エスカレーション通知も設定できます。
- 電源:AC 110V/220Vの商用電源。現場の条件に応じて、太陽光発電との組み合わせも可能です。
- バックアップ設備と連動可能:バックアップ発電機にリモート始動のインターフェースがあれば、停電時に始動させるために、Smart Control Boxとの組み合わせを検討できます。
仕様、対応設備、よくある質問は停電警報モジュールの製品ページをご覧ください。
よくある質問
Q1:停電すると停電警報器自身も電気が切れますが、それでも通知できますか?
YenProtekの停電警報モジュールはどのタイプもバッテリーを内蔵しており、停電後も本体には電気があります。警報を送り出すには、現場のネットワークに頼らない、SIM通信内蔵のNB-IoT版か4G版を選んでください。Wi-Fi版は、現場のルーターやモデムが停電後も電気を保てるかによります。
Q2:Wi-Fi版、NB-IoT版、4G版はどう選べばよいですか?
Wi-Fi版は、安定したネットワークがある屋内や固定の現場に向いています。NB-IoT版と4G版はSIM通信を内蔵しており、固定回線がない、またはやや人里離れた屋外の現場に向いていて、停電後も警報を送れます。現地でNB-IoT網が普及していない場合は、4G版を選べます。海外(例:タイ)では4Gのほうが向いている場合があります。
Q3:今のエアレーター、揚水ポンプ、冷凍設備を交換する必要はありますか?
必要ありません。モジュールを既存設備の電源ラインに並列に後付けして電圧と電流を測るだけなので、今の設備はそのまま使えます。
Q4:どんな方法で通知されますか?複数の人に通知できますか?
LINE、SMS、Email、音声電話に対応しており、複数の人に同時に通知できます。エスカレーション通知も設定でき、順番にほかの担当者へ通知します。夜中の停電では、スマートフォンのプッシュ通知より音声電話のほうが見落としにくくなります。
Q5:停電時に発電機を自動で始動できますか?
現場のバックアップ発電機にリモート始動のインターフェースがあれば、YenProtekのSmart Control Boxや関連する電気設備との組み合わせを別途検討し、停電時に発電機を始動させることができます。Smart Control Boxが担当するのは通電と停電の切り替えだけです。大出力モーターや三相モーター、発電機の切り替え回路は、有資格の電気工事士が外部回路で配線します。
Q6:台湾以外の国でも使えますか?
接続周波数帯、現地の通信網、認証要件は国によって異なります。ご利用の国と現場をお知らせください。適した通信バージョンと供給方法を確認いたします。海外のお客様には遠隔技術サポートを提供します。
どれを選べばよいか迷いますか?
現場のタイプ、監視したい設備、現場にネットワークがあるか、そして所在国をお知らせください。どの通信タイプが合うか、Smart Control Boxを組み合わせるかどうかを一緒に確認します。ぜひお問い合わせください。